2025/11/20 18:55

「乳酸菌」と一口に言っても、実はたくさんの種類があり、それぞれ異なるパワーを持っています。乳酸菌の基本から効果、そして賢い選び方を知ることは、ご家族の健康をサポートすることにつながります。

この記事では、乳酸菌の基本的な知識から、主な種類ごとの特徴と期待できる効果、さらにはご自身やご家族に合った乳酸菌を見つけるヒントまで、詳しくご紹介していきます。ぜひ、家族みんなで健やかな毎日を送るための参考にしてください。

知っておきたい乳酸菌の基本知識

そもそも乳酸菌とは、どのような特徴や役割を持つのでしょうか。ここでは、乳酸菌の基礎知識をご紹介します。

乳酸菌とは?
乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出す微生物の総称です。つまり、特定の1種類の菌を指すのではなく、この働きを持つ多くの菌の仲間をまとめて「乳酸菌」と呼んでいます。

私たちにとって身近なヨーグルトやチーズ、漬物といったさまざまな発酵食品の製造に古くから利用されており、その働きは私たちの食生活に深く根ざしています。

そして乳酸菌は、私たちの腸内に多く生息している腸内細菌の一種であり、体によい影響を与える「善玉菌」の代表格として知られています。

乳酸菌にはどんな役割があるの?
乳酸菌には、以下のような役割があることが知られています。

- 腸内環境の改善(悪玉菌の増殖抑制)  
- 免疫機能のサポート  
- 栄養の吸収促進  

乳酸菌は、乳酸などの酸を作り出し、腸内を酸性に保つ役割があります。酸性の環境になることで、アルカリ性を好む悪玉菌の増殖を抑制します。結果として腸内フローラのバランスが整い、便秘や下痢の改善にもつながると考えられているのです。

また、腸は体最大の免疫器官と呼ばれ、私たちの免疫細胞の約7割が集まっています。乳酸菌が腸内環境を良好に保つことで、免疫機能が活性化され、体全体の免疫機能が高まると考えられています。これにより、風邪を引きにくくなるなど、病気への抵抗力アップも期待できるのです。

さらに乳酸菌は、腸の健康を維持することで、私たちが摂取したビタミンやミネラルといった栄養素が、より効率よく体内に吸収されるのを助けます。これは、腸の働きが活発になることで、大切な栄養素を無駄なく取り込めるようになるためです。

主な乳酸菌の種類と期待できる効果

乳酸菌には複数の種類が存在するのですが、その中でも主な乳酸菌の特徴をご紹介します。

菌属

菌種

主な食品

期待できる効果

ラクトバチルス(乳酸桿菌)

アシドフィルス

ヨーグルト

整腸作用

カゼイ

ヨーグルト、乳酸菌飲料

整腸作用

ガセリ

ヨーグルト、乳酸菌飲料

内臓脂肪低減

デルブルッキー 亜種ブルガリクス

ヨーグルト

整腸作用

ブレビス

乳酸菌飲料

免疫ケア

プランタルム

漬物等発酵食品

免疫ケア

ヘルベティクス

乳酸菌飲料

血圧調節作用

ラクトコッカス(乳酸菌球)


ラクティス

チーズ、ヨーグルト

免疫ケア

クレモリス

ヨーグルト

整腸作用

ストレプトコッカス(乳酸菌球)

サーモフィルス

ヨーグルト

整腸作用

ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)

ビフィダム

ヨーグルト、乳酸菌飲料

整腸作用

ロンガム

ヨーグルト、整腸剤

免疫ケア、整腸作用

ブレーベ

整腸剤、粉ミルク

整腸作用

インファンティス

粉ミルク

免疫ケア

アドレッセンティス

ヨーグルト、サプリメント

免疫ケア、アレルギー抑制


ラクトバチルス(乳酸桿菌:にゅうさんかんきん)
「ラクトバチルス」は、細長い棒のような形をした乳酸菌の仲間で、乳酸を作るのが得意な菌です。私たちの腸内、特に小腸に多く住んでいます。ヨーグルトやチーズといった発酵食品によく使われているので、日頃から知らないうちに摂っているものと言えるでしょう。

このラクトバチルスには、腸活をしている方にうれしい、いくつかの特徴があります。

- 生きて腸まで届きやすい  
ラクトバチルスの中には、胃酸に強いタイプが多く存在します。そのため、口から摂取しても、途中で胃酸に負けることなく、しっかりと生きたまま腸まで届きやすいのが大きな特徴です。

- おなかの調子を整える  
ラクトバチルスは、腸内の環境を良好に保つ「整腸作用」に優れています。これは、乳酸を作って腸内をよい状態に保ち、悪玉菌の増殖を抑えるといった、乳酸菌の基本的な働きによるものです。お子さまのおなかの調子が気になる時にも心強い味方になってくれるでしょう。

- 菌それぞれが持つ得意ワザ  
ラクトバチルスと一口に言っても、実はたくさんの種類(株)があります。中には、免疫力を高めるのを助けたり、アレルギー症状を和らげる可能性があったり、さらには体脂肪へのアプローチが期待されるなど、それぞれの菌が「個性的な得意ワザ」を持っているのです。気になる健康効果に合わせて、色々なラクトバチルスを試してみるのもよいでしょう。

ラクトコッカス/ストレプトコッカス(乳酸球菌:にゅうさんきゅうきん)
「ラクトコッカス」「ストレプトコッカス」は、丸い形をした乳酸菌の仲間で、ラクトバチルスと同じく乳酸を作るのが得意な菌です。主にチーズやヨーグルトなどの乳製品の発酵に利用されており、カスピ海ヨーグルトの独特なねばり成分を作る菌も、このラクトコッカスの仲間です。

ラクトコッカスには、私たちの健康に役立ついくつかのユニークな特徴があります。

- 免疫システムへ働きかける  
近年、このラクトコッカスグループの中には、私たちの体の免疫システム全体に働きかける菌が多く見られます。腸内環境を整えるだけでなく、体全体の守る力をサポートする可能性が期待されています。

- 効率よくたくさんの菌が摂れる  
ラクトコッカスは、菌の体が比較的小さいという特徴も持っています。そのため、同じ量でも効率よくたくさんの菌を摂取できる種類があり、より多くの乳酸菌を摂りたい方にとっては魅力的なポイントといえるでしょう。

ビフィドバクテリウム(ビフィズス菌)
「ビフィズス菌」は、Y字型やV字型など、ユニークで複雑な形をしていることが多い乳酸菌の仲間です。他の乳酸菌と違って、乳酸だけでなく酢酸も作り出すのが大きな特徴です。私たちの腸内、特に大腸にたくさん住んでいて、特に生まれたばかりの赤ちゃんの腸に非常に多くいることで知られています。

ビフィズス菌は、私たちの腸活に欠かせない、強力な味方です。

- 悪玉菌の増殖を抑制  
ビフィズス菌が作り出す乳酸に加えて酢酸は、腸内を酸性にする効果が高いため、悪玉菌の増殖をより効果的に抑え込むことができます。これは、他の乳酸菌にはないビフィズス菌ならではの強みで、腸内環境を力強くサポートしてくれます。

- 便通改善の要  
ビフィズス菌は、主に大腸で活動するため、大腸の健康に深く関わっています。便秘や下痢といったおなかのトラブルの改善に非常に重要な役割を果たすことが知られており、規則正しい便通を促すためには欠かせない菌といえるでしょう。

- デリケートな存在  
少しデリケートな一面もあり、酸素に触れると死んでしまうという特徴があります。そのため、ビフィズス菌を配合した製品を選ぶ際は、生きたまま腸まで届けるための工夫がされているかどうかもチェックポイントになります。

【目的別】おすすめの乳酸菌と選び方

乳酸菌は、種類によってその得意な働きが異なります。ここでは、家族それぞれの目的に合わせて、おすすめの乳酸菌をご紹介しましょう。

子どもの便秘・お腹の不調を何とかしたい

▶︎おすすめの乳酸菌:ラクトバチルス(乳酸桿菌)、ビフィズス菌

もしお子さんの繰り返す便秘や下痢など、お腹の不調を改善したいとお考えなら、ラクトバチルスやビフィズス菌がおすすめです。

これらの乳酸菌は、スーパーなどで手軽に購入できるヨーグルトやヨーグルト飲料、乳酸菌飲料に多く含まれています。商品を選ぶ際は、パッケージに「整腸作用」がアピールされているものを選ぶと、より効果が期待できるでしょう。

家族みんなの風邪予防・免疫力アップに

▶︎おすすめの乳酸菌:ラクトバチルス(乳酸桿菌)、ラクトコッカス(乳酸菌球)

もし風邪などの感染症が気になるのであれば、ラクトバチルスやラクトコッカスを含む食品を選ぶのがおすすめです。

これらの乳酸菌は、普段おなじみのヨーグルトやヨーグルト飲料などに含まれています。商品を選ぶ際には、パッケージに「免疫ケア」「免疫機能をサポート」といった旨が記載されているものを選ぶと、より目的に合った効果が期待できるでしょう。

大人の脂肪が気になるなら

▶︎おすすめの乳酸菌:ラクトバチルス(乳酸桿菌)

大人の体脂肪や内臓脂肪が気になる場合は、ラクトバチルスを含む商品を手に取ってみましょう。

これらの乳酸菌は、主にヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれています。商品のパッケージに「体脂肪を減らす」「内臓脂肪を減らす」といった表示があるものを選ぶと、より効果が期待できるでしょう。

毎日の健康維持に

▶︎おすすめの乳酸菌:乳酸菌全般

特定の目的がなくても、日頃から乳酸菌を摂ることは、毎日の健康維持に繋がります。スーパーやコンビニで手軽に買えるヨーグルトや乳酸菌飲料の中から、味や価格を考慮して、無理なく続けられるものを選んでみてください。

乳酸菌の効果を引き出す生活習慣のコツ

乳酸菌を摂るだけでなく、普段の生活習慣にちょっとした工夫をプラスするだけで、乳酸菌のパワーをさらに引き出すことができます。ぜひ、できることから試してみてください。

乳酸菌にエサを与える
乳酸菌を含む善玉菌は、食物繊維やオリゴ糖をエサにして元気に活動します。これらの栄養素は、野菜(ごぼう、玉ねぎ、ブロッコリーなど)、果物(キウイフルーツ、バナナ、りんごなど)、豆類(納豆、大豆水煮など)、海藻類、きのこ類といった植物性食品に豊富に含まれています。

「どれを摂ればいいんだろう?」と難しく考える必要はありません。基本的に、野菜やきのこ類などを意識して食事に取り入れるだけでOKです。例えば、いつものお味噌汁にきのこを足したり、ゆでたブロッコリーをサラダにのせたりと、普段より少し多めに摂ることからはじめてみてください。

毎日続ける
乳酸菌は腸に届いても長く定着せず、数日以内に体外へ排出されてしまうため、毎日継続して摂取することが重要です。腸に届く回数を増やすことで、腸内環境を良い状態に保ちやすくなります。朝食やおやつ、寝る前など、家族全員が無理なく続けられる時間帯を決めて習慣化しましょう。

また、ヨーグルトや発酵食品だけでなく、乳酸菌飲料やグミ、サプリなど手軽に摂れる形も取り入れると、忙しい日でも継続しやすくなります。

バランスのよい食事
バランスのよい食事を意識することで、実は自然と腸によい影響を与えられます。さまざまな食品を摂ることで、乳酸菌の「エサ」となる食物繊維やオリゴ糖、そして腸の健康に欠かせない善玉菌を無理なく補給できます。

これにより腸内環境が整いやすくなるだけでなく、健康的な体づくりそのものにも繋がるため、ぜひ意識して日々の食事を楽しんでください。

適度な運動と質のよい睡眠
乳酸菌の効果を高めるには、適度な運動と質のよい睡眠が大切です。運動は腸の動きを活発にし、ストレスを減らして腸内環境を整えます。家族で散歩したり、積極的に外遊びしたりすることでも、運動になります。

また、質のよい睡眠は自律神経(体の機能を自動的に調整してくれる神経のこと)のバランスを整え、腸の働きをスムーズに保ちます。習い事などで子どもも忙しくしていますが、なるべく早寝早起きを心がけましょう。

これらの要素が整うことで、乳酸菌が最大限に力を発揮できる体のコンディションが整い、より効果的な腸活につながります。

乳酸菌を腸にしっかり届ける

乳酸菌は摂取しても全てが腸まで届くわけではなく、胃酸や胆汁によって多くが失われてしまいます。そのため、腸まで生きて届くタイプや、胃酸に強い加工が施された乳酸菌を選ぶことが大切です。

また、乳酸菌は腸内で活動する時間が限られているため、定期的に摂り続けることで効果を維持しやすくなります。摂取のタイミングとしては、食後や間食時など、胃の中が極端に空腹でない状態が理想的です。

日常生活のなかで、乳酸菌を補給する方法をご紹介してきましたが、忙しい日や外出先でも乳酸菌を続けて摂れるよう、手軽な形状の商品を活用しましょう。

例えば、常温保存可能な乳酸菌飲料、タブレットやグミ、粉末スティックなどは持ち運びしやすく、食事の合間やおやつ代わりにも便利です。こうしたアイテムを上手に組み合わせれば、毎日欠かさず乳酸菌を摂取でき、腸内環境の維持にもつながります。

乳酸菌の種類に着目して家族みんなで健やかな毎日を

乳酸菌にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴や期待できる効果を持っています。大切なのは、ご家族の目的や悩みに合わせて最適な乳酸菌を見つけ、毎日継続して摂取することです。

そして、乳酸菌を摂るだけでなく、バランスの取れた食事、適度な運動、質のよい睡眠といった生活習慣全体を見直すことが、家族みんなの健康な腸を育む鍵となります。ご自身やご家族にぴったりの乳酸菌を見つけ、生活習慣と組み合わせることで、健やかな毎日をサポートしていきましょう。

【執筆者プロフィール】

端場 愛

管理栄養士として、中高生から高齢者まで幅広い世代の栄養管理に従事。食べ物と体の関係を分かりやすく伝えるために、栄養食育ライターとして活動中。