2025/11/19 14:06

腸活とは、食事・運動・睡眠などの生活習慣を整えて、腸内環境を健やかに保つための活動です。最近では「家族みんなの健康のために始めてみたい」と考える方も増えています。

とはいえ…

- 腸活って何から始めればいいの?
- 腸活にはどんな食べ物や飲み物がいいの?

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、今日から始められる腸活の基本や、家族みんなで無理なく続けられる食事のポイント、おすすめの飲み物などをわかりやすくご紹介します。

ぜひ最後まで読んで、ご自身の暮らしに合った「腸活」を見つけてくださいね。

腸活とはそもそも何のこと?意味やメリットとは

腸活とは、腸内環境を整えるために、毎日の食事・運動・睡眠などの生活習慣を見直すことです。最近では、子どもの便秘や、家族の体調管理をきっかけに腸活を始める方も増えています。

腸内環境を整えるうえで欠かせないのが、「腸内細菌」のバランスです。腸内には、体に良い働きをする「善玉菌」、悪影響を与える「悪玉菌」、そしてどちらにも傾く「日和見菌(ひよりみきん)」の3つがあります。

理想的なバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7 といわれています。つまり、善玉菌をいかに増やして、悪玉菌を抑えるかがカギになるのです。

それぞれの菌の特徴と役割を、次の表にまとめましたので、ぜひチェックしてみてください。

種類

細菌名

働き

善玉菌

・乳酸菌

・ビフィズス菌

・酪酸菌など

悪玉菌の増殖を抑える

悪玉菌

・ウェルシュ菌

・病原性大腸菌など

腐敗物質を産生し、腸内環境を悪化させる

日和見菌

・連鎖球菌

・大腸菌など

腸内細菌が優勢な方に働く性質がある


食生活の偏りや忙しさによる生活リズムの乱れは、腸内細菌のバランスを崩す原因になります。その結果、便秘や下痢、肌荒れ、さらには疲れやすさを感じることもあります。

「最近おなかの調子が安定しない」「肌の調子がイマイチ」そんなときは、腸内環境が乱れているサインかもしれません。

健康や美容のためには、毎日の暮らしの中で無理なく取り入れられる“腸活”を意識することが大切です。

腸活は何から始めたらいいの?具体的な方法5つ

腸活は、特別なことをする必要はありません。まずは、食事、運動、生活リズムを少しずつ整えることから始めてみましょう。忙しい毎日でも取り入れやすい方法をご紹介します。

1. 食生活を見直す
毎日の食事は、腸内環境に大きな影響を与えます。不規則な食事時間や栄養バランスの偏りは、悪玉菌が増える原因になります。できる範囲で整った食事を心がけてみましょう。  
主食(ご飯やパンなど)、主菜(肉や魚、卵、豆腐など)、副菜(野菜、きのこ、海藻など)を意識すると、腸内のバランスも整いやすくなります。

また、腸にうれしい食品も取り入れてみてください。

【腸活におすすめの食品】
- 発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆など)  
- 食物繊維を含む食品(野菜、果物、豆類)  
- オリゴ糖を含む食品(バナナ、ごぼう、玉ねぎなど)

2. 定期的に運動する
定期的な運動も、腸活には欠かせません。腸の動きを助け、便秘の改善にもつながります。  
生活習慣が排便に与える影響を調査した研究※1では、ウォーキングなどの運動と米などの食物繊維の摂取が排便維持に有効と示唆されています。

腸の運動を促すには、有酸素運動と「ねじり」がある運動を行うとよいでしょう。運動は自律神経を整えるとされており、腸の健康を保つためにも重要です。

【運動の目安】
- ウォーキング:1日60分以上(1日8000歩以上)  
- 筋力トレーニング:週2~3日(腕立て伏せ・スクワット・ダンベル運動など)  
- 座りっぱなしの時間を減らす  
- 子ども(幼児期)は体を使った遊びを1日60分以上  

運動が苦手な方や時間が取りにくい方でも取り組みやすい方法として、通勤や買い物で1駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、子どもと一緒に体を動かす時間を作るといった手段があります。  
できることから無理なく始めて、続けていくことが大切です。

3. 生活リズムを整える
子どもの送り迎えや家事に追われて、つい寝る時間や食事のタイミングがバラバラ…ということはありませんか?  
実は、こうした生活リズムの乱れが腸内環境に影響を与えることがあります。

私たちの腸の動きは「自律神経」によってコントロールされています。自律神経は無意識に働く神経で、交感神経と副交感神経があります。  
交感神経は日中や緊張時に優位になり、副交感神経は睡眠中やリラックスしているときに優位になります。  
交感神経が優位な状態では胃腸の働きが抑えられ、副交感神経が優位な状態では胃腸が活発になります。両者のバランスが、腸内細菌のバランスを保つためにも重要です。

睡眠や食事の時間を一定に保つことで、自律神経のリズムが整い、腸内環境も整いやすくなります。  
まずは「夜は23時までに寝る」「朝は7時までに朝食をとる」など、できることから取り入れてみてください。

4. お腹のマッサージをする
夜寝る前、布団に入ってホッとしたとき。そんなリラックスタイムに、お腹をやさしくマッサージしてみませんか?  腸の動きをサポートして、お腹の調子を整える助けになります。

【やり方】  
おへそを中心に、時計回りに「の」の字を描くように手のひらで軽く押しながらマッサージします。1〜2分ほどでも十分です。これを週に4〜5回、習慣にできると理想的です。

ただし、お腹に手術歴がある方、妊娠中の方、産後間もない方は無理をせず、医師に相談してから行ってください。

5. ストレスをコントロールする
忙しい日々の中で、知らず知らずのうちにストレスがたまりがちですよね。  
でも実は、腸と脳は深くつながっていて、ストレスは腸内環境にも影響を与えるといわれています。

だからこそ、自分なりのリフレッシュ方法を見つけることが大切です。  
たとえば、子どもが寝た後に好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、友だちとおしゃべりしたり。短時間でも「ホッとする時間」を作ることで、心にも腸にもいい影響を与えてくれます。

さらに、軽い運動は腸の動きを促すだけでなく、気分転換やストレス解消にも効果的。無理のない範囲で、体を少し動かすことも意識してみてください。

腸活におすすめの食べ物・飲み物

腸活におすすめの食べ物や飲み物には、善玉菌そのものを含む食品と、善玉菌のエサになる食品があります。善玉菌を直接とれる食品は「プロバイオティクス」、エサになる食品は「プレバイオティクス」と呼ばれています。

そしてこの2つを一緒にとることで、腸内環境をより整えやすくなることから、「シンバイオティクス」として注目されています。

ここからは、それぞれに当てはまる食品を見ていきましょう。

善玉菌そのものを含む食品(プロバイオティクス)
ビフィズス菌や乳酸菌、納豆菌などの善玉菌は、腸内環境を整えたり、悪玉菌の増加を抑えたりする働きが期待できます。日々の食卓でも取り入れやすい、身近な発酵食品が多くあります。

たとえば、次のような食品です。

- ヨーグルト:乳酸菌やビフィズス菌  
- 乳酸菌飲料:乳酸菌  
- 納豆:納豆菌  
- 味噌:乳酸菌や麹菌  
- キムチ:乳酸菌  
- ぬか漬け:乳酸菌や酪酸菌  

これらの菌は、腸内に定着し続けるわけではなく、一定期間で体の外に排出されます。だからこそ、できるだけ毎日、無理のない範囲で続けて摂ることがポイントです。

たとえば、朝食の納豆やヨーグルト、夕食の味噌汁や漬け物など、普段の食事にちょっとずつ加えてみると続けやすくなります。

善玉菌の働きを助ける食品(プレバイオティクス)
善玉菌の働きを助ける食品には、オリゴ糖や食物繊維、難消化性の糖質などがあります。これらは消化されずに大腸まで届き、善玉菌のエサとして腸内で増殖をサポートします。

中でも、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」は、善玉菌にとってとくに効果的な栄養源とされています。

善玉菌のサポートにおすすめの食品には、次のようなものがあります。

- 果物(リンゴ、バナナ)  
- 野菜(キャベツ・玉ねぎ・ブロッコリーなど)  
- いも類(長いも・里いも・こんにゃくなど)  
- ハチミツ  
- 豆類  
- 海藻類  
- きのこ類  

これらは、普段の食事にも取り入れやすい食材ばかりです。たとえば、朝食にバナナを添える、みそ汁にわかめや豆腐を加える、カレーや炒め物に玉ねぎやきのこを多めに使うなど、ちょっとした工夫で自然に取り入れることができます。

ただし、オリゴ糖を多く含む玉ねぎや大豆、ニンニクなどは、摂りすぎるとお腹が張ったり下痢になることもあります。初めての方やお子さんと一緒に食べるときは、少量から様子を見ながら始めると安心です。

腸活を簡単に続けるコツ3選

腸内環境を整えて、健康や美容の効果を実感するためには、「無理なく続けること」がなにより大切です。忙しい毎日でも取り入れやすい工夫をすれば、自然と腸活が習慣になります。

ここでは、日常生活の中で無理なく続けられる3つの方法をご紹介します。

1. 朝食を必ず摂る
朝ごはんをしっかり摂ることは、体内時計を整えて1日をスムーズに始めるために欠かせません。朝に胃腸が動くことで、便通も促されやすくなります。また、脳のエネルギー源となるブドウ糖の補給もできます。

忙しい朝でも、バナナやヨーグルト、シリアルなど手軽に食べられるものを選べばOK。さらに、朝食前に白湯を飲むと胃腸がやさしく温まり、消化機能もサポートされます。

2. コンビニで手軽に買える食べ物を取り入れる
毎日きちんと料理をするのが難しいときは、コンビニやスーパーの力を借りるのもおすすめです。最近では、腸活に役立つ発酵食品や食物繊維の多い食材も豊富にそろっています。

たとえば以下のような食品が手軽に取り入れられます。

- ヨーグルト  
- 納豆  
- ぬか漬けやキムチ  
- カップ味噌汁  
- 雑穀米のおにぎり、全粒粉使用のサンドイッチ  
- 海藻が入ったサラダ  
- ひじきの煮物など  

ポイントは、一品だけで済ませるのではなく、複数を組み合わせること。  
たとえば「納豆+雑穀おにぎり+野菜たっぷり味噌汁」など、簡単でも栄養バランスが整いやすくなります。

3. サプリメントを利用する
食事だけで全ての栄養をカバーするのが難しい場合は、サプリメントを活用するのもおすすめです。乳酸菌やビフィズス菌、オリゴ糖や食物繊維を含むタイプなど、腸内環境を整える成分が含まれた製品を選ぶとよいでしょう。

ただし、サプリメントはあくまで補助的な役割で、食事の代用になるわけではありません。  
食事で不足しがちな栄養素を補うのが目的です。バランスのよい食事を基本として補助的に利用しましょう。  
また、適度な運動や十分な睡眠といった生活習慣を整えることも意識しましょう。

腸活についてのよくある質問

腸活についてのよくある質問と、その答えをまとめました。ご自身やご家族の生活に合った形で、ぜひ参考にしてみてください。

Q:腸活はどれくらいで効果が出ますか?
個人差はありますが、一般的には始めてから2週間ほどで、お腹の調子の変化を感じる方が多いようです。  
ただし、体質や生活習慣によって違いがあるため、「なかなか変化が感じられない」と感じても焦らず、まずは1ヶ月ほど続けてみましょう。

腸活はすぐに結果が出るものではありません。習慣化することで、少しずつ体の中から変わっていくものです。

Q:腸活はダイエットに効果的ですか?
腸内環境が整うことで、栄養の吸収や老廃物の排出がスムーズになり、代謝も活発になります。その結果、体が軽く感じたり、体重のコントロールがしやすくなったと実感する方もいます。

また、善玉菌を増やす食品には低カロリーのものが多く、無理な食事制限をせずに済むため、ストレスやリバウンドのリスクが少ないのも魅力です。

腸活は「体の内側から整えていく健康的なダイエット」として、忙しい主婦の方にも続けやすい方法です。

Q:子どもの腸活は何から始めるとよいですか?
基本的には大人と同じように、善玉菌を含む食品(ヨーグルトや納豆など)や、そのエサになる食品(バナナや野菜など)を意識して取り入れることから始めるとよいでしょう。

お子さんが食べやすい工夫もポイントです。  
- ヨーグルトにフルーツを加える  
- 納豆を刻んでごはんに混ぜる  
- 野菜をスープやカレーに入れる  

このように、自然に摂れる形がおすすめです。ひとつの食品に偏らず、さまざまな食品を摂ることも意識してあげましょう。

また、水分もしっかりとることが大切です。食物繊維の働きを助けてくれますし、脱水の予防にもなります。外遊びで体を動かすことも腸にいい刺激になりますので、無理なく楽しく続けられる環境をつくってあげましょう。

腸活は継続が大切!できることから始めよう

腸活は、特別なことをしなくても、毎日の食生活や生活習慣を少し見直すことで気軽に始められます。

たとえば、

- 朝食に納豆を添えてみる  
- 間食をヨーグルトにする  
- コーヒーや紅茶の甘みにはオリゴ糖を使ってみる  

そんな小さな工夫から始めて見るだけで十分です。

大切なのは、自分のライフスタイルや体質に合わせて、無理なく続けること。完璧を目指す必要はありません。

まずは、できることから一歩ずつ。続けるうちに、体や気分のちょっとした変化を感じられるようになるかもしれません。  
家族の健康のためにも、今日からできることを取り入れてみてくださいね。

【執筆者プロフィール】

北村 由美


看護師としてキャリアはのキャリアは30年以上。総合病院、地域病院、訪問看護ステーションなどに勤務し、

超体出生体重児からご高齢の方まで、さまざまな病気の方の看護を行う。

母の在宅介護をきっかけに、2022年より本格的にライターを開始。

「読者が共感できる記事」「わかりやすい記事」の執筆に努めている。医療・健康分野、看護師の働き方などを中心に執筆中。


保有資格:看護師・ケアマネジャー・登録販売者・薬機法管理者・アロマテラピー検定1級など